
昨日やっとNHKオンデマンドで「100de名著・中井久夫・最終講義」が公開された。
以前友人が中井先生の「治療文化論」を読んでいて興味を持った。
最終講義は読んでいないけれど放送を観ていて読んでみたいと思った。
今年講義に出かけた「北里大学東洋医学総合研究所医史学研究部主催の「東洋医学とこころのシンポジウム-五感に響く東洋医学の叡智-」に津田 篤太郎先生の講演(NTT東日本関東病院 リウマチ膠原病科部長)
「総合診療としての漢方~こころとからだをともに診るということ~」のお話の中に中井久夫先生が登場されていた。
統合失調症という治療困難とされてきた病にも回復する可能性があるというのを粘り強い観察された方だ。
斎藤環先生が紹介
中井先生は法学部にいかれるも結核で入院。その後医学部に進みウィルス研究に入るも匿名で「日本の医者」による批判の書を現し,ボスの逆鱗に触れて破門される。
東京に出てきて臨床の世界に飛び込み精神科に進む。
そこで気がついたのは発病論や本質論が多くても回復過程を記述したのはなかったそうです。
看護日誌に注目し話を聞くだけばかりではなく「触診」をしてグラフ化するとカラダに症状が現れたり夢を見るようになったり変化することがあることに気がついた。これを臨界期という。
「慢性患者を慢性患者とみなすのを止めたらいろいろなものが見えてきて離脱への萌芽はその中に混じっている」
統合失調症は治らない「状態」ではなく回復の「過程」と統合失調症を捉え直した。
前駆期[不安 恐怖 不眠]
↓[臨界期]
急性期[幻聴 幻覚 妄想]→慢性化[以前は変わらないと思われていた]
↓[臨界期]
回復期[身体症状 夢]→慢性化[以前は変わらないと思われていた]
↓[臨界期]
寛解
臨界期を発見したのは中井の功績
急性期は身体症状が消える。[生理など]
慢性化は「状態」ではなく回復の「過程」と捉えた。
統合失調から人間を護るシステム
- 睡眠
- 夢活動
- 心身症
- 意識障害
- 死
兆候として短時間睡眠になる。
夢を見るのは回復の兆候[発症すると夢は見ることはなくなる]
ランダムに1〜9の数字を言う[発症するとデタラメには言えなくなる]
メタ視点がなくなる。
回復期には言葉が少なくなる。
絵画を描いてもらったり脈を測ったりして慢性化しないように工夫した。
随分前に若い方が通院されていました。
お薬も処方されていましたが食事のコントロールが出来なくなり[コーラを飲み続けて急性期糖尿病に]入院されました。
また薬を飲みたくない方もいて,飲まないときはいろいろな行動障害が出ていらっしゃいました。強制入院での投与で現在は落ち着いた生活に戻られています。
以前ドアが開いているのに気がついて見てみるとホームレスの方がカラダ半分だけ入ってきてゴムの木の葉を触られていました。
「何か御用ですか?」と聞いたら「彼に金を貸したんだけど何時返すのか聞いている」と。
帰りそうもなかったので「ゴムの木あげるから持っていって」というと「なんでそんなことをいう」とすこし怒りながら出ていきました。彼の中でどんな物語があるのかと思っていました。