増永静人氏は、昭和時代の指圧界の名人として知られ、浪越徳治郎氏とともに指圧の普及に大きく貢献しました。
彼の著書「経絡指圧治療 百話」は、指圧の歴史、身体観、感覚の養成法、そして実践的なアプローチについて深い洞察を提供しています。
増永氏は、西洋医学と東洋医学の違いについて興味深い見解を示しています。西洋医学が病名による抽象化と統計的処理に基づく治療を重視するのに対し、東洋医学では個々の患者の体質、性格、生活環境を考慮することの重要性を強調しています。
特に注目すべきは、増永氏の経絡に対する考え方です。彼は経絡を「生きた人間像をそのまま理解する方法」と捉え、単なる抽象的な概念ではなく、漢方医学の伝統的な知恵が込められたものだと説明しています。
指圧や東洋医学を学ぶ過程では、初心者は多くの疑問や迷いに直面します。型から入り、経絡をイメージしながら手技を習得していきますが、その正当性に疑問を感じることもあります。また、圧痛点の判断や虚実の概念の理解など、経験を積むことで徐々に身につけていく技能も多くあります。
この本を通じて、増永氏の深い洞察と経験に基づく知恵を学び、指圧や東洋医学の本質に迫ることができるでしょう。