日本伝統鍼灸学会一日目

10月29日,30日の2日間,日本伝統鍼灸学会に参加してきました。
10年ほど前から入会している会です。
今回のテーマは「氣と意識」という会でも正面から取り上げてこなかったテーマでもありとテテも期待していたテーマでもありました。

参加してみて刺激をとてもいただけました。
初日は石原克己会長の「人体場から観た意識・氣と九鍼」
石原克己会長は残念ながら体調を崩されてビデオ講演となりました。
九鍼で鑱鍼(ざんしん)と呼ばれる道具がありますが,やっと使い方の一つが分かったような気がします。

修験密教の師匠から教えていただいたプラーナメスと使い方が一致していて,ああこういうふうに使うための道具なのかと腑に落ちました。
石原先生は精妙体系,皮部系,経絡系,経筋系,臓腑系に分けられています。
私が多用しているのは皮部系,経絡系,経筋系です。
圓鍼(えんしん)は皮部系で使いますが,戸ケ崎正男先生に精妙系への使い方を示唆していただきました。皮部系では小野文恵先生のような使い方を石原先生は使われていたのが印象的です。

挫刺鍼というのがありますが,初めて使い方を観ました。
35年この業界にいますが挫刺鍼をされた方が二人おられました。
一人は百会で使ったそうです。1年以上頭痛が消えたと話していました。

もうひとりは膏肓辺りに傷が残っていてどうしたのかと聞いたところ挫刺鍼をしてもらったと話していました。
この方もしばらく肩こりがなくなっていたといいます。
筋膜繊維を引っ張って切るのですが,頑固なコリに効果があるそうでした。
映像で観られてよかったです。

第二部は中谷哲先生の「氣・意識についての意識調査」
これはとても楽しみにしていました。ほとんど隠されていた部分ですので。
施術中,皆さん何を感じながら施療しているのかが知りたかったです。ここは核心と言ってもいいところです。
中谷哲先生も話されていましたがテーマが大きすぎて取り上げることが困難で長年手つかずの分野といっていいところでした。
日本伝統鍼灸学会のアーカイブに動画がアップされると思いますが,このアンケートははじめの一歩としても大成功だと思います。
学会員だけに限ったアンケートではなかったのですが,140人以上の人から回答がありました。
6割以上の人が気が分かり,訓練すれば身につけられると思っている方が多かったです。

氣と意識の使い方は学校教育では習うことはありません。
各会派や太極拳,気功で学ぶことがほとんどです。
私は気功と太極拳で学びました。改めてかくにんしてそうなのかと思いました。

機器を使用しての発表をされた先生もいました。
レベルは違いますが,ツボの探索器が話題になった時期がありデジャブを感じました。
数年前にスマホでサーモカメラをつけて治療前,治療後を写真で確認という発表は視覚化出来て面白いと思いました。
冷え性の方を触診しても,皮膚自体は温かいのだけれども本人は寒く感じている,タオルケットの上から,例えば大腿部を圧すとこちらの手が冷たく感じたり,でも皮膚を直接触っても温かかったりと人の感覚のずれがあり,こういう機器で視覚化出来れば感覚のズレが分かるかもしれないと思いました。

「伝統鍼灸の確立に向けて」では,以前から戸ケ崎正男先生が江戸期からの見直しをされていました。
そこから経絡治療が昭和10年前後に立ち上がったわけですが,新しく作られた経絡治療の総括が1990年代にされたこと。最後に島田隆司先生の話も出てきて衝脈の整理が必要などが印象的でした。
家に戻ってから衝脈を調べながら,これから注目して観察してみようと思いました。

丸山敏秋先生の教育講演「『いのち』に働きかける医療の在り方〜鍼灸医学の原理から考える」。
途中から会場に入ったのですが最初から聞けたら良かったと思いました。白川静先生のお話が出て漢字の呪術そのものというお話に興味を持ちました。
後でアーカイブで確認しようと思います。

シンポジウム「気・意識と臨床」
東方会,積聚会,いやしの道の先生方と司会は浦山久嗣先生
浦山先生のツッコミが楽しみでしたが,各先生方の率直な質問の投げかけがとても参考になりました。
こういう企画もっと前からやってよと思います。

日本伝統鍼灸学会は次回広島で行われるそうです。
会頭は史上最年少の先生とか。
若返りが図れて大きく展開するのかなと期待感がいっぱいです。