増永静人著「経絡指圧治療 百話」を読み始める。

増永静人氏は昭和の名人であり、浪越徳治郎氏とともに指圧を普及させた一人です。

彼の本は数冊あり、指圧の歴史と身体観、感覚の作り方、実践での在り方など、示唆に富んでいます。

伝統的療術界における教育者と言って過言ではありません。

この本の「まえがき」に、深いことが書かれています。

「西洋医学では、病名によって抽象化された現象について、科学的に研究し、統計的に処理された確実な治療法を、個々の患者に当てはめることが最良の方法と考えられている。具体的な患者の事情にこだわって、客観的な判断を誤ることはあってはならないのである。ところが、同じ病名をつけられ、似たような症状を持つ場合でも、その患者の体質や性格、また生活環境によって、かなり異なった病気の成り立ちや、その対応の仕方があって、そのことを考慮しないでは、的確な治療にならないことを、東洋医学の立場から痛感することがしばしばある。」

また、増永氏によれば、「経絡というものは、病名のように抽象化されたものではなく、生きた人間像をそのまま理解する方法である。臓器の名称を用いているので病名と混同されるかもしれないが、漢方が古くから用いた特別の概念がそこに含まれている。」

増永氏の考えに共感するものであるが、学び始めは大いに迷ったものである。

指圧に限らず、あんまマッサージも最初は型で入る。まさに、経絡をイメージし筋を探りながら手に覚え込ませていくのである。でもそれが、正しいのかどうか迷うところです。

初心者の頃は、参考書や本を読みながら、腰痛はここのツボがいいのかなど、確認しながらやっていくが、ビギナーズラックはあっても2度目、3度目はそうはうまくいかない。

また、反応点を圧痛で求めるも、強く押せば誰でも痛がるのであるから、この圧痛はどういったものかを、相手に聞きながら弾力をいちいち覚えていくのであるが、人はみな皮膚の感触や筋質を体に覚えるのには、人によって時間がかかるのである。

そして、虚実。経験を重ねていくと、「虚実」という概念は、とても利用しやすいのに気がつくが、これは皮膚や筋質を触って比較できるようにならないと使うことができない。

今日は、前書きからスタートであるが、つらつらと思い出しながら、徒然に書き残していきたいと思う。